手のふるえ外来

診療案内

手のふるえ(本態性振戦)に対し集束超音波治療(FUS)による症状の改善を目指す「手のふるえ外来」を開設しています。当院では外来での検査・確定診断を行い、治療の際は関連施設である新百合ヶ丘総合病院にて行います。

診療内容と特徴

ふるえ(本態性振戦)とは

本態性振戦とは、原因がはっきりしていない(=本態性)、自分の意思に反してふるえが起こっている状態(=振戦)を意味します。症状が似ていることから、パーキンソン病と誤って診断されることもあります。

本態性振戦は命に関わる病気ではないものの、食事や車の運転など日常生活に支障をきたす病気です。症状は主として手に現れ、まれに足や頭部などに現れることもあります。

発症される方は中高年に多く、65歳以上の10~20人に1人が発症すると言われています。発症の原因は明らかではありませんが、小脳、視床、脳幹など脳内の伝達異常によって生じるものと考えられています。

行っている治療

一般的に、症状が軽度の場合は薬で症状を抑制します。症状が重い場合や薬による治療が困難な場合、多くは開頭手術が行われますが、当外来では手術を伴わない「集束超音波」を利用した新しい治療法、集束超音波治療(FUS)での治療を目指します。

集束超音波治療(FUS)とは

FUS治療の様子

集束超音波治療(FUS)とは、頭部を切開することなく、MRI画像を用いて脳深部にある振戦の神経活動が異常な患部を探り当て、超音波エネルギーを集中照射する治療方法です。超音波の照射(焼灼)により熱凝固を起こすことで、ふるえを軽減させます。

2019年6月より保険適用となりました。

頭部切開を伴わない治療である集束超音波治療には、下記のような特徴があります。

  • 外科治療と異なり、頭を切らずに治療ができます。
  • 放射線治療ではないため、被ばくを伴いません。
  • 身体への負担が少なく入院期間が短いため、早期の社会復帰が期待できます。
  • 患者さんの症状を見ながら治療を行うことが可能で、有害事象が生じた場合は直ちに中止できます。

治療前と治療後について

FUS治療前
FUS治療後



(左)治療前
(右)治療後

治療後は直ちにふるえが改善し、図のようになめらかな線を描けるようになりました。

治療前と治療後に渦巻きや直線をなぞるテストを実施しました。(上図)

治療前は、ふるえのためまっすぐな線を描くことができませんでしたが、治療後はふるえが改善し、滑らかな線を描くことができるようになった症例を示しています。

※患者さんの症状の度合いや治療の効果は異なり、すべての患者さんに対してこのような効果を得ることができるわけではありません。

治療対象となる方

  • 本態性振戦と診断された方で薬物療法の効果が低い方

※頭蓋骨の性質や形状により医師が適用外と判断した場合、集束超音波治療が実施できない場合もあります。

治療の流れ

FUS治療の流れ

当院の外来を受診いただき、確定診断の結果FUSによる治療が適用となった場合は、関連施設である新百合ヶ丘総合病院のFUS外来にて診察、入院治療となります。

※治療の際、頭髪が治療の妨げとなりますので剃髪させていただきます。

スタッフ紹介

仲野雅幸医師

仲野 雅幸

専門医・指導医

  • 日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医
  • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
  • 日本定位機能神経外科学会技術認定医

専門としている領域

脳神経外科一般
機能的脳神経外科

外来診療

木曜日 午後

担当医:仲野 雅幸(脳神経外科)