放射線治療センター(放射線治療科)

放射線治療について ~切らないがん治療~

放射線治療とは、手術などの外科的治療、抗がん剤を使用した化学療法と並ぶ、歴史のあるがん治療のひとつです。放射線がDNAに作用して正常細胞を残しながらがん細胞を選択的に死滅させる治療法で、身体にメスを入れることなく治療ができるので身体の外観や機能を温存でき、また、適応幅が非常に広いのが特徴です。

当院では、米国のバリアン社製の放射線治療装置「True Beam STx」を導入し、さらに高精度でがんのみを狙って照射する最新の技術を導入し、より患者さんの負担が少ない放射線治療を行っています。

また、がん治療、放射線治療に関してセカンドオピニオンも行っています。オンラインでのセカンドオピニオンも可能ですのでご相談ください。

True Beam STxについて

米国のバリアン社製の放射線治療装置に、手術などのナビゲーションシステムを開発したドイツのブレインラボ社製画像誘導システムを統合し、特に高精度放射線治療に特化したシステムです。
頭や体幹部など幅広く行える汎用性をも備えます。

TrueBeamSTx

バリアンメディカルシステムズ社製リニアック TrueBeam STx

専門的知識を持ったスタッフによる放射線治療

放射線治療装置が最新であったとしても、専門の知識・技術を持ったスタッフが充実していないと、放射線治療を安全に実施できません。

当院には、高精度放射線治療に経験の深い放射線治療専門医1名と放射線治療担当スタッフ数名、大学から派遣された非常勤の医学物理士1名が在籍しています。放射線技師のうち1名は放射線治療を専門とした認定を取得しているので、誰もが安心安全な放射線治療を受けることができます。

また、当院には女性スタッフも在籍しておりますので、乳がんをはじめとする外科領域や子宮がん等の婦人科領域の放射線治療も安心して受けていただけます。

放射線治療に適した環境

当院の放射線治療センターは清潔で環境も良く、実際に放射線治療を行う放射線治療室も広々としており、誰もが安心して放射線治療を受けることができます。

また、放射線治療は平日の決まった時間に毎回行うものですが、当院では患者さんの都合により時間が変更になる場合でも、可能な限りご希望の時間に放射線治療ができるよう対応します。

短期間での治療が可能

最近では正確な治療により、効果を落とすことなく短期間で照射する方法があり治療期間を短くすることが可能です。例えば乳がんの照射は通常25回(約5週間)のところ、15回(約3週間)で可能です。前立腺がんも通常25~40回程度(約8週間)ですが、高精度の治療技術で5回程度で行う場合もあります。当院では可能な場合は積極的に短期照射を取り入れています。

放射線治療による副作用

放射線治療による副作用は多くありません。しかし、場合によっては長期にわたる副作用もあり得ますので、それを防ぐ放射線治療医やスタッフの経験や技量がたいへん重要です。治療後半などで粘膜痛など一時的な副作用が出現することもありますが、なるべく少なくするように工夫しています。

副作用はがんの種類や照射部位により異なるため、個々の副作用については治療開始時にご説明します。例えば頭部では照射部位の脱毛が生じることがあります。前立腺の治療では一時的に頻尿が起こることがありますが、可能な限り副作用を少なくする処置を行います。

放射線治療効果の例

腫瘍による無気肺の解除

無気肺の放射線治療術前

before

無気肺の放射線治療術後

after

腫瘍による無気肺ではよほど大きな腫瘍でない限り、多くの場合放射線の効果は大変高いです。すぐに効果が発現することも、治療後数週間を要する場合もあります。

ピンポイントで照射する定位放射線治療

定位放射線治療術前

before

定位放射線治療術後

after

ピンポイントで照射する定位放射線治療は、正常脳に障害を与えない方法で、ガンマナイフ治療と同じです。この程度の大きさの腫瘍の場合は1回で照射し、ほぼ100%近い患者さんで制御可能です。比較的大きな腫瘍には、3~5回程度に分割して照射するほうが副作用も少なく、効果が期待できます。全身状態を考慮し、多数多発する場合は全脳照射という方法も行います。

放射線治療Q&A

放射線を当てることで痛みや副作用はありますか?
照射中に痛みや熱さを感じることはまったくありません。しかし照射部位によっては、照射回数を重ねるごとに皮膚炎や粘膜炎等で違和感や痛みを伴うことがあります。症状が強い場合はお薬などを処方して痛みを和らげます。副作用はがんの種類や場所によって異なりますので、詳しくは放射線治療医よりご説明いたします。
仕事をしながら、放射線治療を受けられますか?
通常は、通院しながら放射線治療を受けていただくことができます。抗がん剤併用などの場合には入院いただくこともあります。また、治療時間の調整にも可能な限り対応いたします。
治療期間中の日常生活で注意することはありますか?
激しい運動を避けるなどの注意は必要ですが、一般的には日常生活には特に制限はありませんし、お風呂に入っても大丈夫です。
治療は途中で休んだら効果がなくなりますか?
休んでもすべて効果がなくなることはありませんが、放射線治療は平日続けて照射するように計画が立ててありますので、予定通り照射を続けることが望ましいです。
治療効果はいつごろから出てきますか?
すぐに効果がみられる場合もありますが、放射線治療は治療終了後数ヶ月、時に半年以上かけて、ゆっくりと効果が現れる場合もあります。

放射線治療の流れ

①診察

  • 病状、検査所見から、放射線治療医が治療方針やスケジュールを決定します。治療を進めていくうえでの注意事項など、放射線治療についてご説明します。

②計画用CT撮影

  • 治療計画用CTを撮影し、がんの位置・大きさ・形状を正確に把握します。必要に応じて固定具を作成、造影剤を使用します。PET検査などを行うこともあります。

③治療計画作成

  • 撮影した画像をもとに、最適な照射法を検討し、治療計画を作成します。

④治療開始

  • 1回の治療時間は入室から退室まで約15分程度です。正確な位置に照射することが非常に重要であり、原則として毎回の照射の前に位置確認の画像を撮影します。基本的には通院で行い、治療期間はがんの種類と部位によって異なります。

⑤フォローアップ

  • 治療期間中は少なくとも週に1度、治療後も定期的に診察し、治療効果や副作用を確認していきます。

診療時間

曜日
午前 国枝 国枝 国枝 国枝
午後 国枝 国枝

印は予約診療です。新規患者さんは予約枠に限りがありますのでご相談ください。
医師の都合上、止むを得ず休診となる場合があります。休診情報については休診・代診・診療時間変更のお知らせをご覧ください。

スタッフ紹介

国枝悦夫医師

国枝 悦夫

放射線治療センター長

東海大学客員教授

慶應義塾大学客員教授

東京都立大学客員教授

ベストドクター2020-2021選出

主な経歴

  • 1981年 慶應義塾大学 卒業
  • 2010年 東海大学放射線治療科学領域主任教授

専門としている領域

  • 放射線治療(特に、脳腫瘍、乳がん、前立腺がん、画像誘導高精度放射線治療)

専門医・指導医

  • 日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会合同認定放射線治療専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医

総合東京病院 放射線治療センター長
国枝 悦夫
高精度放射線治療を専門としている。元東海大学教授。

放射線治療は様々ながん、腫瘍などに対して行われています。

乳がん

乳房温存手術後に放射線治療を行うと局所再発が3分の1になると言われています。通常25回で照射していますが、最近では15回程度で行っても同様の効果が得られるということがわかっています。さらに追加して4~5回の電子線照射を行うことがあります。乳房全摘手術後もリンパ節転移があった場合には放射線治療を行った方が良いことがわかっています。

副作用は少なく、皮膚が赤くなったり日焼けのように多少黒くなったりしますが、早期に回復します。

前立腺がん

限局性前立腺がんは放射線治療の良い適応です。手術と放射線治療は同様の成績で、どちらを行うかはご本人の選択次第といえますが、手術ができない方にも放射線治療は適しています。ただし現在のところ、37回ほど通っていただくことが必要です。最近では5回ほどで行う方法もあります。まだ歴史は浅いですが、前立腺がんの放射線治療は欧米では一般的です。当院でも実施いたします。

肺がん

リンパ節転移のない4センチまでの肺がん(非症細胞肺がん)に対しては体幹部定位放射線治療をおこないます。手術とどちらが良いかはまだわかっておりませんが、体の負担が少ないことが特徴です。

リンパ節転移のある肺がんには、手術ができない場合に抗がん剤と併用した放射線治療(化学放射線治療)を行います。最近は、Ⅲ期非小細胞肺がんに対して免疫チェックポイント阻害剤と併用する化学放射線治療で、成績が著明に向上しています。

頭頸部がん

頭頸部がんに対しては化学放射線治療を行います。発声や嚥下の機能などを温存できることが利点です。腫瘍やリンパ節領域に一致させるような放射線治療(IMRT)で、唾液腺機能低下などの副作用が軽減できます。

食道がん

食道がんは手術が行われることも多いですが、放射線治療もほぼ同等の成績が得られます。化学療法が困難な方には放射線単独で使用することもありますが、できる限り化学放射線治療を行います。食道を温存し、QOL(生活の質)が改善することが利点です。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は放射線感受性が高く、比較的少ない線量でも効果があります。化学療法も大変効果がありますが、残った場合などに使用します。

婦人科腫瘍(子宮がん等)

子宮頸がん治療は日本では手術も多いですが、欧米ではむしろ放射線治療が主体です。治療成績は同等で副作用は少ないといえます。腔内照射という特殊な治療の併用が原則で、他施設と連携して行います。

脳腫瘍

脳腫瘍は大変種類が多いですが、その中で頻度の高い神経膠腫に対しては30回ほどで治療します。高齢者の場合には10回で治療することもあります。

また、再発などに対して頭部定位放射線治療を行うことがあります。

肝がん

肝細胞がんは放射線感受性の比較的高い腫瘍です。高精度放射線治療の技術で照射します。日本ではまだあまり普及していませんが、非常に効果の高い治療と考えています。

膵臓がん、腎がん

膵臓がんは緩和的治療として放射線を行うことが多くありましたが、小さな腫瘍には定位放射線治療を行うことで効果があります。呼吸移動によって腫瘍が動くため、呼吸同期照射などを行います。

腎臓がんはこれまで放射線感受性が低いと考えられていました。古い教科書では「腎臓がんは放射線治療の適用外」と記載のあるケースも見かけます。しかし、1回に大線量を投与する定位放射線治療ではかなり効果があることがわかってきました。そのため、手術のできない腎細胞がん等には定位放射線治療が行われます。腎機能はほぼ温存可能です。ミリ単位で照射するため、最新の技術である呼吸対策が必要です。

転移性腫瘍(脳・骨等)、その他悪性腫瘍

10個程度までの脳転移の場合は、定位放射線治療(X-ray Knife)の効果が高いです。ガンマナイフでも治療できますが、当院の場合は患者さんの負担が少ないことが特徴です。

体幹部の転移でも、原発巣が制御され、かつ3~4個程度までの転移の場合には、定位放射線治療で生存期間に対する効果があります。2020年4月より、5個までの転移に対して保険適用が始まりました。

骨転移の疼痛には1回の治療でも十分効果があります。外来でも治療が可能です。狭い範囲の椎体転移や、再照射などでも定位放射線治療が有効です。2020年4月より保険適用が始まりました。

ケロイドなど良性病変

放射線治療の対象は悪性病変がほとんどですが、ケロイド手術後に数回、少量の照射を行うことで成績が向上します。副作用はまずありません。