婦人科

ご挨拶

当院婦人科部門は、南東北グループである新百合ヶ丘総合病院との協力体制を構築し、2018年5月から診療を開始することとなりました。新百合ヶ丘総合病院の婦人科部門は良性から悪性まで腹腔鏡で施行可能な施設であり、全国的にも婦人科腹腔鏡の症例数が最も多い施設の一つです。このような診療経験を生かして、都内の関連施設である総合東京病院での診療を、協力体制のもとに開始することとなりました。

診療内容と特色

協力体制をとる新百合ヶ丘総合病院は、開院以来婦人科良性疾患・悪性疾患の腹腔鏡を施行しており、婦人科手術の97%が腹腔鏡で行われている施設です。患者さんのQOLがよりよい治療を目指して診療を行ってきました。年間の婦人科腹腔鏡症例数は1400件程度となり、国内でも最も症例数が多い施設の一つとなっています。総合東京病院でも、その技術を導入することとなりました。

腹腔鏡下手術は、数カ所の小さな傷から腹腔内を観察し、モニターに映し出された画像を見ながら行う手術方法です。拡大鏡のメリットを生かした精細な治療ができることと、患者さんへの負担が少なくなることが指摘されていますが、一方、経験や修練が必要な技術とも言われています。総合東京病院でも、新百合ヶ丘総合病院と同じクオリティの腹腔鏡下手術を、経験豊富な術者のもとに導入いたします。

一般的な良性疾患のみならず、更年期症状についても対応いたします。
※詳しくは下記をご参照ください

  更年期外来

なお、婦人科悪性疾患に対して腹腔鏡で治療を行う場合、子宮体がん・子宮頚がんの腹腔鏡下手術症例の多い、新百合ヶ丘総合病院で腹腔鏡下手術を行い、その後、総合東京病院での術後治療を行うことも可能です。

腹腔鏡下手術について詳しくはこちら

悪性疾患の婦人科腹腔鏡手術を行う新百合ヶ丘総合病院についてはこちら

新百合ヶ丘総合病院 低侵襲婦人科手術センター

対象疾患

◆良性疾患
  • 子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、骨盤臓器脱、子宮頸部異形成、子宮内膜ポリープなど
◆更年期障害

対象となる症状

  • 過多月経、月経困難症、腹痛、貧血
  • 骨盤痛、性交時痛
  • 子宮下垂感、排尿困難、排便困難(骨盤臓器脱に伴う症状)
  • 不正出血、帯下(おりもの)の変化
  • 更年期症状

行っている主な治療

◆良性疾患
  • 子宮筋腫……腹腔鏡下子宮筋腫核出術、腹腔鏡下子宮全摘術、子宮鏡下筋腫核出術
  • 子宮内膜症…腹腔鏡下子宮内膜症病巣切除術、腹腔鏡下子宮全摘術
  • 卵巣腫瘍……腹腔鏡下付属器切除術、腹腔鏡下卵巣嚢腫切除術
  • 骨盤臓器脱…腟式子宮全摘術+腟壁形成術、腹腔鏡下仙骨腟固定術
  • 子宮頚部異形成……子宮頚部円錐切除術、子宮頚部レーザー蒸散術
  • 子宮内膜ポリープ…子宮鏡下内膜ポリープ切除術

※悪性疾患は大学病院等へ紹介しております。

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術とは、3~15mmの非常に小さな傷から腹腔鏡というカメラを入れ、テレビに映ったおなかの中を観ながら専用の手術器具を遠隔操作する手術方法です。おなかの中を観察するには膨らませることが必要ですが、これにはつり上げ法と気腹法という方法があります。当院では気腹法といって二酸化炭素のガスをおなかの中に入れる方法で主に行っています。腹腔鏡下手術は日本では1990年頃から一般に普及し、現在では器具の進歩と医師の技術の向上により、ほとんどすべての婦人科疾患に適応されるようになりました。当院では腹部から行う婦人科手術のうち、約96%が腹腔鏡下手術となっています。

実際には、おなかの3~6か所に小さな穴をあけて手術を行います。おへその1か所とおなかの下の方に3か所の穴を開けるのが標準的な切開の部位です。手術の種類によって穴の数と位置は少し異なります。単孔式・2孔式といって、へそ1か所、またはへそ1か所+下腹1か所の傷で行う手術もあります。また、癒着がある場合や悪性腫瘍の手術などでは複数の切開部位が追加されます。


腹腔鏡下手術が適応とされる病気は、不妊症検査、卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症など良性婦人科疾患のほぼすべてと、婦人科悪性腫瘍(子宮頚がん、子宮体がんなど)も対象となっています(悪性腫瘍は大学病院等へ紹介しております)。おなかを大きく切る従来の手術に比べて、傷も目立たたず、痛みも少なく、入院日数が短いため社会復帰も早くできる利点があります。しかし、おなかの中の状況によっては、数センチの小切開を加えて腹腔鏡と開腹手術を同時に行ったり、また、手術後や炎症性の病気のためおなかのなかで腸などの癒着が強い状況下では開腹手術に移行することもあります。手術で治療をするご病状によって開腹手術に移行する率は異なりますが、その頻度は低く約0.3%となっております。

婦人科の腹腔鏡下手術 腹腔鏡下手術の創部

※上図は一般的な腹腔鏡の配置であり、術式によって配置や創部の数は変わります。

子宮鏡下手術(TCR: trans cervical resection)

電気メスが付随したスコープを用いて、検査で見つかった粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープなどを焼き切ります。手術用の子宮鏡の場合、入院と手術時の麻酔(全身麻酔)が必要になります。

小さなポリープや筋腫の場合、手術時間は大体5~30分程度で終わりますが、粘膜下筋腫のサイズが非常に大きい時など、腹腔鏡手術を併用したりする場合もあります。非常に高周波の電気メスを使用するため、まれに子宮穿孔や腸管損傷などの合併症が報告されており、慎重な操作が必要です。

術後は特に避妊期間は必要でありません。手術の効果は術後早期が最も高いため、積極的に妊娠をトライしてまいります。

婦人科

子宮鏡下手術(TCR)の例(筋腫およびポリープ)

婦人科

子宮鏡(先端から出ている電極で病変を切除します)

手術件数

部位・術式名 2019年 2020年 2021年 2022年
腹腔鏡 子宮全摘 39 26 30 15
仙骨膣固定 - 11 15 4
筋腫摘出 - 15 21 14
その他 - 31 52 38
腹腔鏡手術合計 101 83 118 71
腹腔鏡以外 その他 51 34 44 39
手術合計 152 117 162 110

スタッフ紹介

浅田 弘法

浅田 弘法

新百合ヶ丘総合病院
副院長/低侵襲婦人科手術センター長/産婦人科統括部長

主な経歴

  • 慶應義塾大学 卒業

専門としている領域

  • 婦人科全般(腹腔鏡技術を活かした低侵襲手術)

専門医・指導医

  • 日本産科婦人科学会産婦人科指導医・認定医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
  • 日本生殖医学会認定生殖医療専門医
齋藤 裕医師

齋藤 裕

医長

主な経歴

  • 金沢医科大学 卒業

専門としている領域

  • 婦人科一般
  • 更年期障害

専門医・指導医

  • 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
  • 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医
笠原国武医師

笠原 国武

非常勤医師

主な経歴

  • 筑波大学医学専門学群 卒業

専門としている領域

  • 更年期障害
  • 婦人科一般

専門医・指導医

  • 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医

診療時間

 
午前 齋藤(第4) 齋藤 浅田(第2) 齋藤 齋藤 齋藤
(第1・3・5)
午後 齋藤(第4) 笠原(第1) 齋藤
13:30~