PET検査とは?

陽電子放射断層撮影装置のことで、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー[Positron Emission Tomography]の略語です。X線CTのような形をしたカメラを用いて、全身や心臓、脳などにおける病気の原因や病巣、病状を的確に診断する新しい検査法です。

検査では、まず、陽電子(ポジトロン)を放出する検査薬(おもにブドウ糖と結合させた18F-FDG)を静脈から注射します。その陽電子が、体内のブドウ糖を過剰に摂取する細胞(主にがん細胞)から放出されたガンマ線を見つけ出します。これをカメラでスキャンすると光って見えるため、がんの早期発見が可能となります。

がん細胞は正常な細胞に比べて約3~8倍のブドウ糖を消費する性質があり、その細胞の性質を利用して、PET検査では主にがん検診として利用されます。

大腸がん、女性特有疾患の早期発見にも

PET検査で全身をくまなく調べることで、がんの早期発見に役立てていただくことができます。中でも、PET-CTは「乳がん」「子宮がん」「卵巣がん」「大腸がん」の早期発見に優位性を発揮します。また、がんの転移・再発などの判定にも有効です。

なお、女性特有の疾患に関しては、PET-CT検査と共に、様々な検査を組み合わせていただくことをお勧めいたします。

陽電子(ポジトロン)

正(プラス)の電荷をもった電子のことです。この陽電子は、負の電荷を持つ普通の電子と互いに引き寄せ合う性質があります。2つの電子の結合時に正反対へ放出される放射線をカメラで撮影すると、その発光の様子が画像で映し出されます。

18F-FDG

グルコース(ブドウ糖)に、目印となる「ポジトロン核種(=陽電子放出核種)」を合成した薬剤です。正式名称はフルオロデオキシグルコースといい、性質はブドウ糖とほぼ同じです。

ガンマ線

放射線の一種でエネルギーが高く、物を透過する性質があります。

PET検査の特長

がんは、実際に腫瘍(できもの)ができたり、体に変化が起きてから見つかることが多く、がん細胞の成長がある程度進んでからでないと発見できませんでした。

しかし、がん細胞自身が光って自分の位置を知らせることが出来れば、もっと早い段階で見つけることが可能です。「がん細胞に目印をつける」というのがPET検査の大きな特長です。

PET検査では、がん細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む、という性質を利用します。ブドウ糖に似た物質に目印をつけて体内に注射(FDG)し、しばらくしてから全身をPETで撮影します。すると、FDGが多く集まるところがわかり、がんを発見する手がかりとなります。

従来のレントゲン(X線)やCT、MRIなどの検査は形からがんを見つけますが、PET検査はこのように細胞の性質を調べてがんを探し出します。

PET検査で大腸がんが見つかった例

がんの早期発見

PET-CTでは、従来の検診では発見しにくかったがんを発見することができます。

がん細胞は正常な細胞よりも盛んに活動し、エネルギー源としてのブドウ糖をたくさん必要とします。この特性を利用し、ブドウ糖によく似た薬剤18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)を静脈から注射すると活動が盛んな病巣に集まってきます。その様子をPETカメラで撮影して画像化すると、がん細胞があるかどうかが分かります。

全身スクリーニング

PET検査は1回で全身の検査ができます。そのため、予想外の発見や転移の有無なども調べることができます。

がんが恐ろしいのは、他へ転移したり、治療後に再発してくる場合があることです。PET検査では一度に全身のチェックを行なうことが出来るので、こういった転移したがんを発見することにも力を発揮します。

また、腫瘍細胞がブドウ糖を集める量(がんの活動量)と病巣から検出する放射線の量は相関するため、PET検査はがん細胞の悪性度を反映してくれる検査でもあります。

がんの広がり(病期)の診断

PET-CTでは広がりの程度(病期)の診断ができます。これによって、治療の選択が決まってきます。

治療効果の判定

PET-CTにより、治療の効果の判定ができます。抗がん剤や放射線治療の効果が判定できます。

転移・再発の診断

PET-CTにより、がんの転移・再発が判定できます。

安全度の高い検査

PET検査は胃のバリウム検査よりも低い被爆量です。尿の排出などで翌日にはほとんど体内に残りません。しかも副作用の心配もありません。

従来までの苦痛や不快感を伴う検査と全く違い、着衣のままベッドに寝ているだけの苦痛のない検査です。PET-CT検査で使用するカメラは真ん中に丸い穴のあいた装置ですが、大きな音もせず、狭くもありません。30分程度の撮影の間、ベッドで安静にしていただきます。

また、被爆量はX線検査よりも低い被爆量です。18F-FDGもブドウ糖に似た物質で、人体への悪影響はありません。また、この物質の半減期は110分ですので、約2時間後には半分に減少し、尿からの排泄もあって、翌日には放射性物質がほとんど体内に残りません。

こんな方におすすめです
      
  • 中・高年(特に50歳以上)の方
    PETがん検診の積極的な対象として、中・高年者(特に50歳以上)が望ましいと言われています。ただし、遺伝的に高い発がんリスクを有する方はこの限りではありません。
  •   
  • ハイリスクな方
    がんの家族歴、喫煙などの危険因子を有するハイリスクな方に重点的にお勧めします。

※ご不明な点については、検診を受ける際にご相談ください。