いつまで薬を飲み続けるか考える
― 前立腺肥大症(頻尿・残尿感)に対する治療の考え方 ―
患者さんのためのQ&A
経過に応じて治療の見直しを検討する場合があります。
前立腺肥大症の治療では、まず薬物療法が選ばれることが多く、多くの方にとって有効な手段です。 しかし、前立腺肥大症は加齢とともにゆっくりと進行することもある病気だからこそ、長く付き合う中で以下のようなお悩みをお持ちになる方が増えています。
- 効果の変化を感じるようになってきた
- 薬の数や種類が増えてきて、管理が大変
- 通院や医療費の負担が気になってきた
薬との付き合いがいつまで続くのか、疑問に思うのは自然なことです。治療の目的は、「治療を続けること」ではなく、「患者さんの生活がより快適になること」だと考えます。
薬物療法に不安を感じたとき、併せて検討されるのが「手術療法」です。
手術と聞くと「最終手段」や「怖いもの」と身構えてしまう方も多いかもしれませんが、現在はお腹を切らず、尿道から内視鏡で行う低侵襲(体への負担が少ない)治療が主流です。そのため、症状や生活背景に応じて比較的早い段階から検討される治療法もあります。
たとえば、日本では2022年9月より保険適用となった、経尿道的水蒸気治療(WAVE)は、Rezum(レジューム)という医療機器を用いて水蒸気を前立腺組織に注入し、前立腺の縮小を目指す方法です。体への負担が比較的少ない治療の一つとされています。
手術にはいくつかの方法がありますが、今回は経尿道的水蒸気治療(WAVE)についてご紹介します。
- 治療時間は5〜10分です。専用デバイスから103℃の水蒸気を注入し、肥大した組織を自然に退縮させます。
- 1泊2日の短期入院を行っていただきます。お仕事が忙しい方や、体力面にご不安があるご高齢の方でも、検討しやすい治療法の一つです。当院では90代の方にも実施いたしました。
- 性機能への影響が少ないこと。他の手術と比較して、術後の射精機能が保たれる可能性が高いとされています。
- 体内に人工物が残らないこと。水蒸気によって変性した組織は、1〜3か月かけてゆっくりと体内に自然吸収されます。
治療経過には個人差があります。
薬物療法が合っている方もいれば、別の治療が適している方もいます。
薬物療法は多くの方にとって大切な治療ですが、治療の選択肢を知ることで、「このまま服薬を続けるべきか」「別の治療を検討するべきか」を、より納得してご判断頂く治療について考える際の一助となれば幸いです。
カテーテル・自己導尿を行っている方へ
現在、すでに尿道カテーテルを使用されている方や、ご自身で管を通す「自己導尿」を行っている方でも、この治療によってカテーテルが不要になる可能性があります。
治療中の他のご持病や、排尿の状況を診察の上で、治療のタイミングを判断します。
「もう手遅れかも」と決めつけず、気になることがあれば、遠慮なく医師にご相談下さい。
排尿機能専門医による診療
当院には、日本泌尿器科学会会員約9700名のうち、排尿機能専門医は約300名(2026年2月現在)とされています。単に手術を行うだけでなく、術前検査から術後のフォローアップまで、患者様の症状と生活に合わせた治療計画をご提案致します。
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監修 泌尿器科部長 五十嵐 太郎先生 酒井先生にご相談・診察をご希望の方はこちら |
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