イチからわかる放射線治療

放射線治療は、どんながんに有効なのでしょうか
患者さんのためのQ&A

がんの治療方法として、手術、抗がん剤治療と並んで一般的になってきた『放射線治療』。患者さんにとってどのようなメリットがあるのか、解説します。

治療を受ける患者数は右肩上がりで増加

直近20年間、放射線治療が適用される患者数は右肩上がりで増加しています。2012年のデータによると、日本国内で約25万人の患者さんが治療を受けているとされています。患者増加の理由としては、治療機器の精度向上に伴い、副作用が軽減されるようになったこと、治療成績が向上したことなどが考えられます。放射線治療は、抗がん剤治療、外科治療と並び、がんの3大治療法の1つとされています。

これから訪れる超高齢化社会のなかで、からだに負担の少ない放射線治療を選択する患者さんがさらに増加することが予想されます。

当院の放射線治療

放射線治療装置は、一般的にリニアックと呼ばれます。また、治療のためにからだに放射線をあてることを照射といいます。放射線治療では、X線撮影と比較して数10倍のエネルギーの放射線を使用しますが、照射中に痛みを感じることはありません。

放射線は、がん細胞のDNAに直接作用します。細胞が増加する能力をなくしたり、細胞が自ら死んでいく現象を増強したりして、がん細胞を死滅させます。治療のために照射した際、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも放射線は作用しますが、正常な細胞はがん細胞より障害の程度が軽いため、回復するまでにかかる時間が短く済むと言われています。

当院では、バリアンメディカルシステムズ社製のリニアックを導入しており、ミリ単位の高精度でのがん細胞への照射や、X線の強度を調節しての集中照射(IMRT)を可能としています。

どのようながんに対して治療できるのか?

放射線治療は、全身の様々ながん治療に有効とされています。具体的には、頭頸部の腫瘍、脳動脈奇形、肺がん、乳がん、前立腺がん、子宮がんのほか、食道がん、肝がん、胆管がん、直腸がん、膵がん、悪性リンパ腫、骨に転移したがんなどにも適用されます。

最近では、外科手術や抗がん剤治療を併用しながら、放射線治療を行うケースが増えています。


監修

総合東京病院 放射線治療センター

国枝 悦夫

放射線治療センター  放射線治療セカンドオピニオン外来

国枝悦夫医師
公開日:2019年2月1日 |最終更新日: |カテゴリ:医療コラム
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