下肢静脈瘤にまつわる誤解

下肢静脈瘤があるとエコノミークラス症候群になるのですか?
患者さんのためのQ&A

患者さんの不安の中で一番多いのは、「血栓ができて心臓や脳に飛んで行かないか心配」というものです。

これは、深部静脈血栓症、いわゆるエコノミークラス症候群と混同したものです。先述したように下肢静脈瘤ができるのは表在静脈であり、深部静脈血栓症が起こる深部静脈とはそもそも血管が異なります。基本的に、下肢静脈瘤のせいで深部静脈血栓症の危険性が明らかに高くなるということはありませんし、深部静脈血栓症を心配して予防的に下肢静脈瘤を治療することも絶対にありません。

下肢静脈瘤内に血栓ができることもたまにありますが、飛んでいくほど大きな血栓となることはあまりなく、通常血栓ができた部分の皮膚が赤くなり、痛みを生じます(血栓性静脈炎と言います)。鎮痛薬の内服で多くは自然と消失します。


また「ひどくなって歩けなくなったら困る」という方もいますが、そんなこともまずありません。高度のむくみで脚が重く感じるということはあり得ますが、歩けなくなるような病気ではありません。

つまり下肢静脈瘤は、何かを予防するために治療するものではなく、先に挙げたような下肢静脈瘤による症状で患者さん自身がお困りの時に初めて治療が必要と考えていただければよいと思います。基本的には良性疾患(放っておいても命に関わることはない)ですので、過度な不安を抱く必要はありません。



公開日:2021年12月29日 |最終更新日: |カテゴリ:下肢静脈瘤コラム, 医療コラム
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