秋でも要注意!熱中症の原因となる脱水症とは?

脱水症を予防する方法とは?
患者さんのためのQ&A

今年の夏は全国各地で記録的猛暑が続き、熱中症による救急搬送も増加しました。年齢層は子どもから成人、高齢者まで幅広く、発生場所も家や仕事場などさまざまです。秋でも日中の気温が30℃を超える日も珍しくはなく、熱中症対策は非常に重要です。
熱中症の大きな要因には、脱水症があります。脱水症を予防することが熱中症の予防につながります。今回は脱水症を中心に解説したいと思います。

秋でも熱中症が起こるのか?

一般的に気温が25度を超えると患者が発生すると言われています。昨年の10月は25℃以上になる日が10日ほどありました。※1 また気象庁は2023年11月にかけて「全国的に高温になる傾向にあり、熱中症になる危険性が高いと注意喚起しており、10月は真夏日になる可能性があり、11月は平年並みか平年より高いと見込みだそうです。新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行してから初めての秋で、行楽シーズンで外出する人が増えることで熱中症になるリスクが高くなると考えられます。
※1 気象庁ホームページより

熱中症とは?

熱中症とは高温の環境下で生じる健康障害の総称です。熱中症は4つに分類されます。


  • 熱射病
    一昔前によく耳にしたのではないでしょうか。体温上昇で意識障害や言動がおかしくなったり、ふらつきが現れたりします。
  • 熱失神
    血管の拡張によって血圧の低下が起こり、めまいや失神などが起こります。
  • 熱けいれん
    大量に汗をかき、血液の塩分濃度が低下したときに筋肉がけいれんしたり、手足がつったりします。
  • 熱疲労
    水分補給が足りないと脱水状態になり、倦怠感や頭痛などが起こります。

脱水症とは?

脱水症とは、体内の水分が汗で失われ、不足している状態を指し、熱中症のはじまりです。脱水症が熱中症のさまざまな症状を引き起こします。
脱水症になると身体に必要な栄養素を取ることができなかったり、体内の老廃物を外に出すことや体温の調整ができなくなったり、血圧の低下、血液量が減少したりします。症状としては、口の渇きや身体のだるさ、しびれ、立ちくらみなどがあり、重症になると意識障害や痙攣などが起きます。

脱水の主な症状

重症度によって症状が3つに分かれます。
軽度:身体のだるさ、めまい、立ちくらみ、足の筋肉がつる
中度:嘔吐、頭痛
重度:意識障害、全身の痙攣

脱水症の対策とは?

身体の水分は皮膚や呼吸によって、私たちが知らないうちに排出されています。汗をかいていないからといって水分補給をしなくても大丈夫ということではありません。身体の水分量を生活の中でチェックしてみましょう。おしっこの色は、体内の水分量が少なくなるにつれて色が濃くなっていきます。黄色が濃くなっていたら水分が奪われているということです。
私たちは1日に2.5Lの水分を必要とします。食事や体内で1.3Lの水分を作るので残りの1.2Lを水分補給する必要があります。自動販売機で販売しているペットボトル(500ml)を2~3本ほどの量になります。一気にたくさんの水を飲むと体内の塩分濃度が薄まってしまい、体調不良を引き起こすこともあるので、こまめに水分を摂取するようにしましょう。
特に外出や運動前、就寝前には必ず飲むようにしましょう。


参考文献
厚生労働省 尿の色で脱水症状チェック
      熱中症を防ごう

監修

総合東京病院 救急科

貫名 春奈

救急科

公開日:2023年10月19日 |最終更新日: |カテゴリ:医療コラム
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