薬剤師が薬の副作用について説明する理由

なぜ薬剤師は薬の副作用の説明をするの?
~指導中の何気ない会話に隠されたメッセージ~
患者さんのためのQ&A

薬と副作用の関係について考えたことはありますか?

実は“副作用のない薬はない!”と言われています。身体の中に入った薬は、血液によって全身を回り、症状のある場所で効果を発揮しますが、その過程で目的ではない場所で効果を発揮することも考えられるからです。

「主作用では無い薬理作用」。それを副作用と呼び、良い作用もあれば悪い作用もあります。

私は病院薬剤師として患者さんに薬の説明をする機会が多くあります。今回は「どうして薬剤師は薬の副作用の説明をするのか?」をテーマに2つの思いを込めてコラムを書きたいと思います。その2つとは、「自分で気づくことの大切さ」と「対応方法を理解してほしい」です。

副作用を知り、もしものときに自分で気づくことができる

「花粉症の薬です。日中にどうしても眠くなることがありませんか?」

「痛み止めのお薬です。飲むと胃が荒れる方もいるので、胃薬も一緒に処方されています」

これは薬局での一コマです。薬を処方してもらう際に、このような薬の説明を受けた経験があると思います。この時、薬剤師は副作用の説明とそれが起きていないかを確認をしています。薬を飲み始めて、「何か調子が変だ。最近昼間にどうしても眠い」と感じることがあるかもしれません。 「そういえば薬剤師が、眠くなるとか言っていたな。この薬の影響かもしれない」

あらかじめ薬剤師から適切な説明を受けていれば、副作用の可能性に気づくことができます。こういった症状で困ることがある場合は、医師や薬剤師に相談してみて下さい。そうすれば、患者さんに合わせた対応を考えてくれると思います。

薬の効果や副作用にはどうしても個人差があり、人によって相性があります。早く気づき、早く相談してもらうことが重要です。また、副作用の中には、薬を止めなければならない場合も存在します。

副作用を知り、もしものときの対応方法を理解する

副作用にも薬によってそれぞれ特徴があります。

「このAという痛み止めは、飲み始めに吐き気を感じる人もいますが、飲んでいるうちに身体が慣れていきます」

「Bという血糖降下薬を飲んで血糖値が下がり過ぎると、手足の震え、冷汗、吐き気、倦怠感などが起きますが、ブドウ糖など、血糖値を上げるものを口にすることで対処できる場合があります」

このように副作用が起こった時の対応方法を患者さん自身が知らなければ、どうしてよいか分からずパニックになってしまうと思います。痛み止めAの吐き気に対しては、身体が慣れるまで吐き気止めが必要かもしれません。血糖降下薬Bを飲んでいて低血糖が良く起こるのであれば、薬の量を調節した方が良いかもしれません。 せっかく効いている薬でも、副作用で“ずっと眠くなる”、”必ず低血糖が起こる”と思ってしまい、飲むのを止めてしまう患者さんも見受けられます。我々薬剤師は副作用の特徴・対応方法について説明することで、患者さんが適切に飲み続けられるようにしているのです。

副作用の対応方法は、患者さんにより異なることもありますので、まずは薬剤師にご相談ください。対応方法を知っていることは、それだけで安全な薬物治療に繋がります。きちんと理解し、リスクを知ったうえで薬を服用しましょう。

何気ない会話に隠されたメッセージ

副作用に関わらず、薬の説明を受けるのは面倒くさいと思ってしまうかもしれません。しかし、安全に薬物治療を行うためには非常に重要であり、私たち薬剤師も患者さんが安心・安全に薬を服用してもらえるように分かりやすく説明しています。薬剤師は副作用の話をして皆さんを怖がらせたいわけではありません。是非積極的に説明を聞くようにしていただきたいと思います。また、「もしかしてこれは副作用かな」と疑った際には、気軽に薬剤師に相談してみてください。

監修

総合東京病院
薬剤科
比嘉 輝(ひが ひかる)

男性薬剤師
 
公開日:2021年11月1日 |最終更新日: |カテゴリ:医療コラム
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