公開日:2016年11月26日 |最終更新日: |カテゴリ:松岡医師コラム

いびきの問題が取り上げられるようになったのは40年前のことで、1976年米国ギルミノー博士が「睡眠時無呼吸症候群」「SAS」という病気を提案しました。

SASは「眠ると息が止まる」という状態です。時間は長くありませんが10秒から20秒くらい、長くても1分以内です。また「睡眠無呼吸」とはいっても完全に無呼吸ではなく極端に呼吸の弱ったものも含まれます。

睡眠時無呼吸症候群の種類

SASには2つのタイプがあります。1つ目は呼吸努力はしているが気道が塞がる「閉塞型」、2つ目は本当に呼吸が停止する「中枢型」であります。閉塞型「Obusuturactive」の頭文字をとってOSASとも呼ばれます。

SASの大半はOSASですが、中高年の男性、特に肥満している人に多く見られます。呼吸の努力はしているのに、上気道(鼻から肺までの空気の通り道のうち、のどから上の部分)がふさがっているために無呼吸になることが原因です。

睡眠時無呼吸症候群の定義

SASと診断されるのはどんな場合でしょうか?

【睡眠時無呼吸症候群の定義】

Cに加えて、AまたはBがあること。

A、日中の傾眠(居眠りしやすいこと)がある。

B、下記のうち2つ以上あてはまる項目がある。
・睡眠中に息苦しくなり覚醒する
・睡眠中に頻回に覚醒する
・起床時に眠れた感じがしない
・昼間、からだがだるい
・集中力が低下している

C、睡眠検査にて、1時間に5回以上の無呼吸がある。

※AとBの自覚症状は、ほかの理由で説明できないことが条件です。
※Cは無呼吸のほかに、低呼吸やそれらにともなう呼吸努力関連覚醒も含みます。
*低呼吸は、吸気が確認されないわけではないが、1回の換気量が50%以下。

(アメリカ睡眠医学会による閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断基準)

睡眠時無呼吸症候群の診断

上記のごとく、診断には『無呼吸』だけでは不十分で、日中の傾眠『居眠りしやすい』事などがなければSASとは診断されないということです。その他に無呼吸がなくても激しいいびきのために同様の症状を起こすことがあります。

いびきが激しいことは、狭い上気道での気流を確保するために大変な呼吸努力をしています。この呼吸努力のため寝ていても何度も脳が起こされ、無呼吸を繰り返す人と同じように睡眠が分断され良質な睡眠が得られず、昼間に眠くなるのです。

睡眠時無呼吸症候群の患者数

SASに該当する人はどのくらいいるのかは、正確には把握されていませんが、現在の医学会ではSAS患者は約200万人と言われています。

しかし、実際に治療を受けている人はわずか十数万人に過ぎません。その理由は、患者さんが①いびきに気付いていない、②病気だと思ってない、③治らないと思っている、④治療機関が少ない、等です。男女比は9対1で圧倒的に男性に多いです。特に中高年に多く、まさしく生活習慣病やメタボリック症候群の適齢期です。

近年、SASは新幹線の居眠り事故で一躍世間の注目を集めた病気です。昼間の眠気の原因は、睡眠中に繰り返される脳波上の覚醒反応です。無呼吸(気流が止まる状態)になると体内の酸素不足が進み、そのままですと低酸素で呼吸をしないまま永遠の眠りについてしまいます。

電車の中で日本人はよく居眠りしている人が多いですが、昔住んでいたパリはほとんど居ません。日本は治安がよいですからスリは居ませんので安心して居眠りするかもしれませんが、SASの可能性がありますよ。

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