サウナは本当に健康にいいのか?

サウナ=健康というイメージがあります。実際はどうなのでしょうか?
患者さんのためのQ&A

空前のサウナブーム

SNSでインフルエンサーを中心にサウナに関する投稿が盛り上がったことやサウナをテーマにした漫画やドラマが生まれたことで若者の間でサウナー(サウナ愛好者)が増えたことで、サウナブームが到来したといわれています。2021年の新語・流行語大賞にサウナに関する言葉がノミネートされたことも話題となりました。

サウナで汗をかくことや水風呂に入ったときの爽快感が血行促進やストレスの緩和につながっていてサウナ=健康というイメージがあります。実際のところどうなのでしょうか?

サウナとは?

サウナはフィンランド発祥とされ、日本には1960年代に入ってきたといわれています。石をたくさん乗せたストーブと、石に水をかけてつくる蒸気で室内の温度と湿度を調整します。室温は100℃以上になります。

国内では、先述のドラマの影響で「サウナ」⇒「水風呂」⇒「外気浴」を繰り返すことで至高の心地よさを味わうことを「ととのう」と表現し、独自の入浴方法として知られるようになっています。

本当に健康にいいのか?

サウナは半世紀以上前、友人の父が東京の下町でサウナを経営しており、その時誘われて初めて入りました。当時がサウナ流行の走りでしたが、健康に資するとのことで熱いサウナ室の中で頑張り、冷たい水風呂が気持ちよかったのをよく覚えています。

生理的には血管の収縮や拡張に依存して、血管を柔らかくして拡張させ心機能を改善し、自律神経を調節し、血液中の脂質バランスにも好ましい影響を及ぼすとされています。また、既に疾病にり患している方でも、血圧を下げ、心不全の方の心機能を改善し、慢性気管支炎や喘息の方の呼吸を楽にし、リウマチ患者の関節痛を軽減すると言われています。

今は医学の主流となっている大規模試験の成績はというと、こちらはサウナ発祥の地といえるフィンランドの研究が主であります。フィンランド Kuopio 虚血性心疾患(KIHD)危険因子研究の参加者の研究では、サウナ入浴の回数が増えるほど心臓突然死、冠状動脈疾患、心血管イベントの頻度は減っているとされています。更に認知症やアルツハイマー病などの加齢に伴う神経疾患を発症するリスクもサウナの頻度に応じて減少します。男性では、週に4~7回入る人は、1回の人と比較して認知症を発症するリスクが66%低く、アルツハイマー病を発症するリスクが65%低いという結果が出ています(Laukkanen et al., 2017)。

サウナに入ってはいけない人とは?

注意すべきことは、サウナに入ってはいけない人として、不安定狭心症、最近の心筋梗塞、重度の大動脈狭窄症などが挙げられています。また、フィンランドでの研究ですので、文化としてのサウナが根付いている国で、サウナを利用する人の健康意識がもともと高い可能性がある事、本来のサウナの形である自然の樹木を使って薪を燃やすなどして熱を作るサウナが主流で電気式の熱源とは違う可能性がある事を考慮する必要があると思います。

語りつくせませんが、サウナ、遅ればせながらまた入ってみますかね?

監修

総合東京病院 糖尿病センター長
柴 輝男

柴輝男医師

糖尿病センター

公開日:2022年7月22日 |最終更新日: |カテゴリ:医療コラム
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