コラム5: 物忘れと睡眠障害

年をとると睡眠時間が短くなると思っていませんか?

高齢になると寝るまでの時間(入眠時間)や中途覚醒、早期覚醒が多くなり、睡眠不足になりがちです。そして、病気になるリスクが生まれ、早死にする確率が高くなります。

 

さて、睡眠障害は老化関連疾患のなかでも重要な疾患の1つであり、アルツハイマー病の発症に関与していることが明らかになりつつあります。また、睡眠不足が神経変性を進行させる根本的なメカニズムであると解ってきました。ちなみに日本では80歳以上の約1割が認知症になると予測されており、その7割がアルツハイマー病であると推定されています。

 

 また、認知症の患者さんは物忘れが多く、記憶の固定が著しく低下しています。特に徐波睡眠期(深いノンレミ睡眠)が抑制されると夜間の記憶固定が著しく低下します。また脳神経細胞の老廃物(βアミロイド)が蓄積されるのが45歳ころから始まるのです。(※1)

 

 したがって、睡眠障害のある人は軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI )の発症に先行して、睡眠時無呼吸症(SAS)の治療を行うことが中高齢者の認知症予防やアルツハイマー予防となるのです。(※2)

 

 いずれにしても、「寝る間を惜しんで働く人」や「睡眠不足で死ぬことは無いと思っている人」はとんでもない話です。そのような生活を続けると将来、睡眠障害になり認知症やアルツハイマー症になりかねません。

 

若年から中高年までに睡眠障害を治し、良質な睡眠をたくさんとるようにしましょう。そうすれば、睡眠不足による倦怠感や疲労感、イライラ感が無くなり、仕事や勉強にも集中でき、自分本来の力が発揮できるようになるでしょう。

 

 

【文献】

※1:ManderBA,MarksSM,VogelJW,etal:β-amyloid disrupts human NREM slow waves and related hippocampus-dependent memory consolidetino.Nat Neurosci:2015:18:1051_7

※2:Osorio RS,Gumb T,Pirraglia E,etal:Sleep-disorderad breathing advances cognitive decline in the elderly.Neurology 2015:84:1964_71

 

投稿日:2017年4月19日|カテゴリ:松岡医師コラム